投稿日:2020-01-22 Wed
昨夜、夜の抜海駅と最終の稚内行普通列車をちょっと撮りに行ってきました。


こんな写真が撮れるのも、もうあとわずかなのかもしれません・・・・
(ここから先、かなりの長文になります。※昨夜、同じ文章を宿のFaceBookページにもアップしました。Blogにも掲載いたします。)
先日、宗谷線沿線自治体にJR北海道から突き付けられた内容は、すでに皆様ご存知な方が多いかと思います。
ここ稚内市では、抜海駅がその対象となり、地元自治体がその維持管理費用を負担しない限り、2021年春のダイヤ改正の際に廃止するという内容です。
1年以上前から、市からは町内への意見聞き取り・実態の把握といったことがされてきました。
もちろん抜海としては町内会としても廃止には反対であり、当然当宿としても、駅の存続は宿の生命線でもありますので、一貫して廃止には反対をしてきました。
しかし、先日行われた稚内市から住民への通告は駅を廃止し、代替の交通手段を用意する。代替の交通手段はこれから住民との話し合いで・・・という通告がなされました。
抜海駅存続に関して住民からの意見を聞くという場であったはずですが、なされたことは市の一方的な意見表明で、住民の存続への願いという点は一切考慮されることもなく、あくまでも廃止を前提とした話合いをしようとするのみでありました。
市側の廃止の理由としては、
・宗谷本線を残すことがあくまでも最優先
・そのために抜海駅を廃止する
という論理が飛躍したというよりは説明にもなっていない説明を繰り返すのみ。
当然、場は荒れたわけですが・・・・・
市側は駅存続の条件とか、そういうことではなく「廃止ありき」な上記の理由を繰り返すのみ。やり取りとしては
・こちらから質問してようやく駅の存続のための年間経費などが出てきたり
・JRが廃止の前提として算出した乗降の実績調査月が11月(!)という慣行的には最も閑散期な時期に行っていること
・その時期の調査では観光利用の数字がほとんど出ないと言えば、市もちゃんと調査しているというもののその数字は出してこない(どうも8月の2日間だけな疑い)
・抜海駅は重要な観光資源ではないのか?稚内市は市の方針としても観光重視が柱のはず。ツアー客以外は客ではないのか?それには答えず。
・当宿の数字や、夏季の抜海駅下車のツアー(団体だけが稚内市は好きですから(苦笑))を知っているのかと問えば、把握しているという割には、その数字は言わない。その数字を入れて、抜海駅を訪れていただいている観光の方の数字を入れたら、年間の乗降数は軽く1000を超えるんだから、そもそも一日平均3名以上はいるでしょう!と言っても、そこは無視する
・抜海駅を仮に廃止にしたとしても、運行上、信号場としてのポイント転換場所としては残る。すなわり、冬季はそこに除雪要員が配置される。すなわち建物が必要であるということ。であるならば当然駅舎を取り壊すよりも、当面はそのまま使うということが予想されるということ。であれば、JRの経費は結局かかるわけで、ではなんのための廃駅なのか。なぜ、市はその点をJR側と折衝すらしようとしないのか?
結局、そもそも駅を廃止するという前提でしか話を進めようとしないから、数字を出す気もない。
最後にぽろっと出たことは、廃止するのはお金の問題ではないこと(つまり金は出せるのに出さない?逆に言うと金を出す気はまったくない?)稚内市も痛み(つまり駅廃止)を伴う負担をしているという実績作りであるということ。
その痛みの部分が、市と地元との見解にかなり深い溝があるということです。
次回、再度話し合いをする際には資料をちゃんと出すということだけは了承して説明会は終了しました。
そう、今回は住民への説明資料もない説明会だったわけで。
ちょっと正直舐められているのか?と
まあ、市側としては廃止が前提なわけで、存続にかかる数字の説明などはいらないという考えであったのでしょうか。
こちら側としては、一方的な廃止ではなく、
どうしたら廃止せずに済むのか?存続するためにはどういう方策があるのか?そうした方策が不可能な場合になって初めてどういう代替手段があるのか?
という話合いをしてほしいわけですが・・・・
この先、いったいどういう話合いが進んでいくのかはわかりませんが、というよりも、おそらく何を言っても無駄なんではないかというものすごく空しさの残る状況ではあります。
これからどう動けばいいのか、今ものすごく悩んでいます。
まずは抜海駅の状況を皆様に知ってもらうことから。
さて、ここからは個人的な意見です。
鉄道とは物流・観光の基本的導線の一つです。そして駅というのはその街の顔であり、中心であり、そこから文化は拡散し、また収束していく場所であり、その街の立脚点であると思っています。
北海道では今までたくさんの廃駅、そして廃線という哀しい出来事が生じてきました。
ここ道北でも、羽幌線・天北線・名寄本線・深名線などたくさんの路線がなくなってきました。
鉄路が無くなることは、その街の立脚点を捨て去り、新たに違うものを中心に構築し直すということです。
鶏と卵論的は部分ではありますが、廃線・廃駅を受け入れて状況が改善した自治体は基本的に存在しないと思っています。
そして、一つの駅の廃止を受け入れるということは、次の廃駅の先例となるということ(数年後には勇知もその対象となるであろうこと。宗谷北線には特急停車駅しか残らなくなる。)。その先にあるのは、線路自体の廃線ということ・・・
JR北海道は宗谷線だけでなくほとんどの路線が赤字です。そして利用者がどんどん減っていることも事実です。
JR北海道が、分割民営後、鉄道輸送に関して営業的な努力をほとんど行ってこなかったことも事実です。
ただ、今となっては虚しいそもそも論かもしれませんが、この広大な土地で、人口密度の極端に薄い北海道の鉄路を民間企業が独自で維持することなど不可能だとは思います。
分割民営化の際に、国が甘言をもって国民を納得させたことを考えれば、その責任はどうなるんだと言いたい部分もあります。
現状を考える限り、JR北海道に関しては、もはや上下分離(運行はJR・施設や設備は行政)という方策しか残っていないと思っています。
国・道・市町村の分担割合など、様々な課題はあるかとは思いますが、まずは路線・駅をどう保持していくのか。
負のスパイラル(不便なダイヤ⇒乗らない⇒もっと不便⇒もっと乗らない)からどうやったら抜け出せるのか。
どうしたら正のスパイラルに転換できるのか。
豪華な観光列車を走らせるのも良いのですが、豪華な=高額なものはリピート化しにくいことも考慮し、低価格帯からちょっと贅沢(例えば、普通列車グリーン・急行の復活・快速の充実などなどなど)な部分を充実させ、利便性の向上による乗客増を狙うことは必ず良い結果をもたらすのではないかと考えています。越前鉄道・いずみ鉄道など、先例はあるのではないのか。規模的にはもちろん圧倒的な差はあるわけで、そのままの踏襲ができるわけではないけれど、方策を学ぶことはできるのではないか。
一日5往復の普通列車が抜海駅に停車していた数年前までは、当宿での抜海駅利用の旅人さんは現在(2019年の抜海駅乗降者数は延べ140でした)の軽く倍以上の旅人さんがいました。利便性があれば、絶対に利用者は増えるはずなんです。当宿の数字などは小さな数字です。でも、その小さな数字の積み重ねが一番大事なことなんではないのかと思います。
これから来年の春まで、少しでもできることを考えながら・・・


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